本棚の前が定位置

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ポストエディターと翻訳者の違い

こんにちは。

 

今週は、

JTF(日本翻訳連盟)の講演(録画)と

AAMT(アジア太平洋機械翻訳協会)の

オンラインデスカッションを

聞いたので、自分のためにも

記録しておきます。

 

ポストエディットとは

今、翻訳・機械翻訳業界の

興味の中心は

「ポストエディット」

 

機械翻訳を行った後で

人がその出力結果を

修正する、という作業です。

 

この作業をする人を

ポストエディターと

呼ぶのですが、

これは翻訳者とは違うのでしょうか?

(能力的にも金額的にも)

という質問や話題が

多かった印象です。

 

そもそも、機械翻訳を「修正」する場合

どこまで修正するのか

何を目指して修正するのかが

問題です。

 

理想は、現状の人間が

翻訳したものと同じになることですが

それだと機械翻訳

「速さ」と「コスト」の

良さが活かせないので、

どこ線引きをするか、が

悩ましい。

 

この業界全体の悩みは、

1年くらい前から

あまり変わっていないような、、

スパッと解決とはいかない

みたいですね。

 

ポストエディットは簡単?

話を聞いていて

心配になったのは、

ポストエディターという

職種が、

翻訳者より能力が下、

あるいは

翻訳とは違う能力、

のように語られることが

多かったことです。

 

講演している人たち(翻訳会社や

研究者)は

たいてい、翻訳者と同じ〜と

言っているのですが、

質問する側や一般的な事象として、

上記の話題が出てきます。

 

つまり、業界の外からは

機械翻訳があるから

ポストエディットは簡単だ

と思われている、という

ことですね。

 

現時点で、

ポストエディットと翻訳作業は

同じ能力が必要な

ことなる業種であり、

どちらが簡単、ということは

ありません。

 

作業にかかる時間は

ポストエディットの方が

少ないことが前提ですが

だからといって

必要条件に差はありません。

 

機械翻訳の出力結果の

誤りを見つけるには

翻訳力が必要だからです。

 

これを見誤って、

翻訳よりは簡単だから

ポストエディターになろう

と考える人がいないことを

祈ります。

 

ポストエディターは

ミスを見つけるだけでなく

修正も求められます。

見つけるのも、修正も

翻訳力がないと

完結しません。

さらに、該当の業界知識も必要です。

機械翻訳では

突然、関係ない用語が出てきたり

言い回しが不自然だったりするからです。

反対に特殊な言い回しがしたいのに

機械翻訳のよって

目立たないように

均されている場合もあります。

 

機械翻訳は文脈を読まないので

言語として成立させるためには

翻訳力を持つ「人」が

必要だということですね。

 

そもそもこの「翻訳力」が

人間の脳のどんな働きなのか

解明できていないので、

機械に置き換えること自体が

不可能、と言われています。

 

翻訳者はこの先も必要か

機械翻訳の精度が

ニョキニョキ育って

翻訳者は今後、

不要になるという話もあります。

 

他の職種同様に

10年後残っているかどうかは

誰にも分かりません。

 

翻訳自体の需要は増えないという

試算もあるので、

翻訳業界は変容していかざるを

得ないでしょう。

 

ただ、機械翻訳エンジンをどう活かすかを

考えるときに

出力結果の修正は必須なので

ポストエディットも必要でしょう。

 

ただ、ポストエディットを行うのは

翻訳者であって、

言語力が低くていい理由はない、

というのが

今回の結論でした。

 

翻訳者の選択肢に

ポストエディットが加わる

イメージですね。

 

個人的には

人の力を必要な

「翻訳」と

機械翻訳のみの

「出力」は

目的を明確に分けた方が

いいと考えています。

 

機械翻訳の出力に

どのくらい修正が必要か

修正が不要かどうかは

翻訳力がないと

判断がつかないのですから

人の判断が必要な時点で

人件費と時間がかかります。

 

結局、人の「翻訳」と同じですね。

 

出力をそのまま使える

シーンもかなり多いので、

違いがもっと一般的に浸透して

使い分けられるようになることが

目指す形だと思います。