本棚の前が定位置

毎日何か読んでます。次どの本読もうかな〜という幸せな悩みの手助けができれば

通訳を依頼する側の人も必読/通訳というお仕事

こんにちは。

 

個人的に

英語(外国語)の仕事として

最高難度は同時通訳だと

思っています。

 

「英語できるなら

通訳できるでしょ」

と思ってる人にこそ

読んでもらいたい。

 

通訳というお仕事 by関根マイク

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ベテランかつ通訳大好きな著者が

「通訳とは?」の疑問を

網羅して解説した本です。

 

通訳者になりたい、とか

それ以前に「通訳」って何かな?の

段階からでも

楽しく読めるように

テンポ良く、わかりやすく

書いてあります。

 

日本語同士でも、同通って大変ですよ?

 

一番、読んで欲しいのは

これから通訳を依頼する人です。

 

クライアントに物申すなんて

著者の意図するところではない

と思いつつ、

やっぱり通訳・翻訳はもっと

地位向上してほしい!

ほんとにすごい技術なんですよ。

 

試しに自分が普段触れない分野の

日本語のYouTube

チャンネルで同時通訳に

挑戦してみてください。

 

日本語でも大変なんです。

別に言語となったら、

その技術力は押して知るべしです。

 

もちろん、

今の時代、テクノロジーが取って変わる

部分はありますよ。

 

英語に限定すると

日本人の英語力が飛躍的に伸びて

通訳不要の時代が来るかもしれません。

(この予想、当たったらいいですね)

 

でも、今、通訳が必要な人には

通訳が提供するサービスの価値を

理解して欲しい。

 

さらに通訳の質を向上させるために

依頼する側ができることも

この本を読めばいっぱい書いてあります。

 

この本を通訳業界に人は

全面的に公開して

通訳の深淵を大々的に伝えればいいのに。

 

社内で「英語ができる」という理由で

通常業務以外に

通訳を頼まれる話をよく

聞きますが、

そんな場合もこの本を抜粋して

渡して欲しい。

 

通訳の歴史は学校で教えた方がいい

今、日本で生活していて

通訳を必要とする場面は

限られますよね。

 

需要が高くないから注目も

集めにくいと思うと仕方ない面もあります。

 

ただ、歴史的に通訳が果たしてきた

役割は大きく、

江戸時代の長崎の「通詞」の苦労

よしながふみさんのマンガ「大奥」の

8〜10巻に出てくる青沼は通詞の設定ですね)、

第二次対戦中の通訳の役割

(現地で通訳をさせられた人は戦犯かどうか。

など、今でも戦時下での通訳は問題がいっぱいです)、

月面着陸の同時通訳などなど、

日本語というヨーロッパ言語と

かけ離れた言語の民族が

どうやって未知の言語と出会い、

渡り歩いたのかは

日本の歴史として学んだら、

言語を学ぶ人たちにも

いい効果がありそうですけどね。

 

もっと「通訳」が言葉だけでなく

仕事内容まで知られて欲しいなぁ。

 

 

 

 

文学を読む理由?好きだから、で十分/ぼくは翻訳についてこう考えています

こんにちは。

 

ブログを始めて100個目の投稿です。

あっという間に

かけると思いきや。

大変ですね。

自分で褒めておきます。

 

今日は前から気になっていた

柴田元幸さんの

『ぼくは翻訳についてこう考えています〜柴田元幸の意見100』です。

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この表紙の文字が好きで。

万年筆ですかね。

一般的にキレイな字ではないと

思うんですが、

味がある感じがよくて。

自分でも描きたいなと

練習したりします。。

 

内容は、柴田さんのこれまでの

著作などからの抽出なので

読んだことある?の

ページもいくつかありますが

まとめて読むと一貫した思想が

伝わってきていいですね。

 

翻訳はどうしたって不完全、

原文の快感を伝えるのが翻訳、

テキスト(原文)が全て、

などなど。

 

翻訳に関わっていると

普段、みんなどう思ってるのかなぁと

思う部分がまぁスッキリと

言語化されていて、

自分もスッキリ爽快。

 

翻訳業界に入る前だったら

モヤモヤがなかった分、

この爽快感も味わえなかったでしょう。

 

世界が広がったわけです。

よかった。

 

そして、

好きだから、そうする

(註:文学を読む)のである。

他国の文学であれ自国の文学であれ、

それが文学を読む唯一全面的に

正しい理由である。

 

ありがたいですね。

柴田さんがそう言うなら

それでいい!と

思えてきました。

 

それほど文学読みというわけでは

ないのですが、

読みたい本は読みたい!

 

そのために翻訳は

「価値ある営みである」

(あとがきにゲーテ

言葉が引用されてます)

と、改めて認識して

翻訳に向き合おうと決心しました。

 

伝記:ノーマン・ロックウェル/愛国心とはこうゆうものか

こんにちは。

 

他にもいろいろ読み散らかしつつ

WHO was シリーズの

ノーマン・ロックウェル

読了です。

 

今回もすごく読みやすくて

楽しかったので、

作家買いは間違いなさそう。

 

これからWho wasシリーズ

読む方はぜひ、人物以上に

作家さんに注目ですよー。

 

閑話休題

 

この本で考えさせられたのは

ロックウェルはイラストレーターか

アーティストか。

国が好きとはこうゆうことか。

の2点。

 

1点目のアーティストか否かは

結論は

アーティスト。

岡本太郎さんの方針にそうと

気に入られたいとか

上手に描けるとか

そうゆうことは関係なくて

自分の中から湧き出る感情を

表現していくことが大事。

 

ロックウェルはそのままですね。

表現方法は大衆寄りですが

ロックウェルの感情の発露である以上

表現方法はどっちでもいいのかなと。

 

本の最後では、

作品が高額で取引されているとか

有名人が所有していることが

アーティストと呼ばれる

理由として書かれています。

 

子供たちにはそっちの方が

わかりやすい説明かもですね。

 

雑誌の表紙を飾りつつ

雑誌や世の中の表面的な

流れによらず

自分の描きたいことを

大好きなスタジオで

描き続けた。

そんなイメージですね。

 

そして、第二時対戦中や

公民権法の成立時など

結構、政治的な表現にも

及んでいます。

 

日常的な作品しか知らなかったので

政治的な意味をもつ作品は

初めてでした。

Southern Justice はアメリカの

暗い部分の象徴で、

ロックウェルが題材に挙げたこと自体に

驚きでした。

 

白人と黒人の差別・区別の問題に

ロックウェルが果たした

役割はもっと日本でも

知られるといいですね。

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これは挿絵なんですが

説明も良くて、

『白人ばかりの町にきた黒人の

ファミリー。

はじめは様子を見ながら

距離がありますが

子供同士はすぐに

仲良くなっちゃいますね』と

現実はそう簡単ではないのでしょうが、、

1970年代よくある光景だったのかも。

すぐに仲良し、は

願いがこもってるのでしょう。

 

この本からの結論ですが

ロックウェルは

アメリカが好きだったんだな」と。

暗い部分も月に行くすごい部分も

自然も都会も

全部ひっくるめて、

自分の国が好きで、少しでも

寄り添いたくて描いていたように

感じました。

 

批判しないとか

いやな部分を隠すとかではなく

全部ひっくるめて、大事。

この姿勢が愛国心と呼ばれるものだと

思います。

 

 

 

 

このミス2021!辻真先さんはすごい。

こんにちは。

 

「このミス」こと

このミステリーがすごい2021年版を

買いました。

 

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このミスを買うのはひさしぶり。

 

大学生の頃は、上位を片っ端から

読みましたし、

子供が生まれるまでも毎年買って

1年の読書の指針にしてたんですが、

子供が生まれてからは

どうせ読めないし、、と

フラストレーションがたまるだけなので

わざと読まないようにしてました。

 

今年は表紙がコナン君!

おかげさまでコナンが好きになった

子供も読むかなーと

紙で購入したところ大成功⭐︎

二人で読める。

本好きとしては、嬉しい限りです。

 

個人的な読みどころは

なんといっても

辻真先さんのインタビュー。

 

御年88歳から湧き出るアイディアと

エネルギーは読んでいて

目がキラキラしてきます。

インタビュアーの方も引き出しが豊富で

まさに脱帽。

いい記事でした。

 

あ〜〜、ミステリーが読みたい!!

 

子供たちもこうやって

ミステリー好きに育つことを

(密かに、でも確実に)

企んでいます。

ポストエディターと翻訳者の違い

こんにちは。

 

今週は、

JTF(日本翻訳連盟)の講演(録画)と

AAMT(アジア太平洋機械翻訳協会)の

オンラインデスカッションを

聞いたので、自分のためにも

記録しておきます。

 

ポストエディットとは

今、翻訳・機械翻訳業界の

興味の中心は

「ポストエディット」

 

機械翻訳を行った後で

人がその出力結果を

修正する、という作業です。

 

この作業をする人を

ポストエディターと

呼ぶのですが、

これは翻訳者とは違うのでしょうか?

(能力的にも金額的にも)

という質問や話題が

多かった印象です。

 

そもそも、機械翻訳を「修正」する場合

どこまで修正するのか

何を目指して修正するのかが

問題です。

 

理想は、現状の人間が

翻訳したものと同じになることですが

それだと機械翻訳

「速さ」と「コスト」の

良さが活かせないので、

どこ線引きをするか、が

悩ましい。

 

この業界全体の悩みは、

1年くらい前から

あまり変わっていないような、、

スパッと解決とはいかない

みたいですね。

 

ポストエディットは簡単?

話を聞いていて

心配になったのは、

ポストエディターという

職種が、

翻訳者より能力が下、

あるいは

翻訳とは違う能力、

のように語られることが

多かったことです。

 

講演している人たち(翻訳会社や

研究者)は

たいてい、翻訳者と同じ〜と

言っているのですが、

質問する側や一般的な事象として、

上記の話題が出てきます。

 

つまり、業界の外からは

機械翻訳があるから

ポストエディットは簡単だ

と思われている、という

ことですね。

 

現時点で、

ポストエディットと翻訳作業は

同じ能力が必要な

ことなる業種であり、

どちらが簡単、ということは

ありません。

 

作業にかかる時間は

ポストエディットの方が

少ないことが前提ですが

だからといって

必要条件に差はありません。

 

機械翻訳の出力結果の

誤りを見つけるには

翻訳力が必要だからです。

 

これを見誤って、

翻訳よりは簡単だから

ポストエディターになろう

と考える人がいないことを

祈ります。

 

ポストエディターは

ミスを見つけるだけでなく

修正も求められます。

見つけるのも、修正も

翻訳力がないと

完結しません。

さらに、該当の業界知識も必要です。

機械翻訳では

突然、関係ない用語が出てきたり

言い回しが不自然だったりするからです。

反対に特殊な言い回しがしたいのに

機械翻訳のよって

目立たないように

均されている場合もあります。

 

機械翻訳は文脈を読まないので

言語として成立させるためには

翻訳力を持つ「人」が

必要だということですね。

 

そもそもこの「翻訳力」が

人間の脳のどんな働きなのか

解明できていないので、

機械に置き換えること自体が

不可能、と言われています。

 

翻訳者はこの先も必要か

機械翻訳の精度が

ニョキニョキ育って

翻訳者は今後、

不要になるという話もあります。

 

他の職種同様に

10年後残っているかどうかは

誰にも分かりません。

 

翻訳自体の需要は増えないという

試算もあるので、

翻訳業界は変容していかざるを

得ないでしょう。

 

ただ、機械翻訳エンジンをどう活かすかを

考えるときに

出力結果の修正は必須なので

ポストエディットも必要でしょう。

 

ただ、ポストエディットを行うのは

翻訳者であって、

言語力が低くていい理由はない、

というのが

今回の結論でした。

 

翻訳者の選択肢に

ポストエディットが加わる

イメージですね。

 

個人的には

人の力を必要な

「翻訳」と

機械翻訳のみの

「出力」は

目的を明確に分けた方が

いいと考えています。

 

機械翻訳の出力に

どのくらい修正が必要か

修正が不要かどうかは

翻訳力がないと

判断がつかないのですから

人の判断が必要な時点で

人件費と時間がかかります。

 

結局、人の「翻訳」と同じですね。

 

出力をそのまま使える

シーンもかなり多いので、

違いがもっと一般的に浸透して

使い分けられるようになることが

目指す形だと思います。

 

 

hontoのキャンペーンで視野の狭さを思い知る

こんにちは。

 

hontoで

恒例の「読書一生分プレゼント

キャンペーン」が始まりました。

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1等は935,977ポイント

(= 93万5千977円分のhontoで使えるポイント)なんですが、

ふと算出式を見てびっくり。

 

 1世帯当たりの書籍・雑誌等への年間支出額:
10,703円(総務省 2019年 家計調査より)

これに女性の平均寿命分(87.45年)を

かけたのが上の金額です。

 

1年間で10,703円。。

1ヶ月じゃないんですね、、

マンガだと20冊弱?

単行本だと3冊買えませんよ。

 

わたしは自分のお小遣いを

2万円で設定していて、

そのうち、1万2千〜5千円くらいが

書籍代です。

毎月、物欲と闘ってます。

 

余談ですが、

わたしの場合、

honto のポイントは5年分くらいで

使いきれそうですね。

※(935977÷15000)÷12 

 

私の読書は現実逃避や癒しの

要素が大半なので

もっと本が好きな人増えて!

とは思ってます。

 

だって売れないと

いい本と出会える機会が

減るじゃないですか。

 

という、利己的な希望はおいておいて、、

 

本が好きだから

SNSでも

本が好きそうな人や

作家さん、翻訳者さん、

書評のサイトなどを

フォローしているのですが

その情報はすでに

偏ってるんですよね。

 

だって、金額だけを見たら

本を買う人は

決して多くはないのですから。

 

SNSは自分に近い人に

近づいていくので

多数派なように思えるのですが

そうでもない。

 

さて、バイアスを払拭するためにも

わたしは本を読もうと思います。

 

おすすめの理由 3つ/ソロー『森の生活』を漫画で読む

こんにちは。

 

アメリカの思想家

ソローの森の生活を

抽出した

バンド・デシネ。

 

その名も

ソロー『森の生活』を漫画で読む

by ヘンリー・ディヴィット・ソロー 文

ジョン・ポーサリーノ 編・絵

金原瑞人 訳

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買おうかどうしようか

結構迷ったんですが、

読んでよかったので、

同じく迷っている方のお役に立てれば。

(ソロー「森の生活」自体は

未読です)

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理由その1

翻訳がいい

 

ソロー自身も漫画を書いた人も

小難しいことを書こうとしておらず

自然体。

その方の力が抜けた感じが

しっかり翻訳文にも出ていて

眉間に皺を寄せずに読めます。

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理由その2

最後の「抄」がいい

 

漫画として

抜粋+切り貼りした作品の

抜粋部分の文脈全体が

読めるようになっていて

とても親切。

 

わたしは初めの漫画だけだと

理解が浅いまま終わってしまった、

と感じました。

 

「抄」を読んでから

漫画部分を読むことをおすすめします。

 

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理由その3

何度も何度も読める

 

一回で理解できなくても

いいやーと

軽く読めるのが

漫画の良さ。

 

絵を追うだけでも良くて

引っかかる部分が毎回違うので

「お」と思った部分を

再読。

短いけど、色んな発見があって

お得です。

 

ソローが眺めていた湖のように

透明で底がすぐみえそうなのに

実は深い。

深呼吸したくなる本でした。