本棚の前が定位置

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ミステリー:インド植民地支配の苦悩を味わう

こんにちは。

 

BLM問題をはじめ

差別というのは

歴史に起因する根深い問題で

無意識に自分も

差別したり

差別(区別)されても当然と

思っていたりします。

 

今回はミステリー小説ながら

イギリスに植民地支配されていた

インド・カルカッタが舞台。

1919年、第一次大戦後、

自治を約束した統治法成立も

実情は空手形で

欺瞞的な措置にインド人の

不満が高まる、、という時期の

お話です。

 

カルカッタの殺人 by アビール・ムカジー 訳 田村義進

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スコットランド・ヤード

経験を積んだ刑事が

大戦の辛い経験を経て

インド・カルカッタ

赴任。

早々に起こったイギリス人高官の

殺人事件に

優秀なインド人警官(部下でいいのかな?)

バネルジーと共に挑む。

というのがあらすじです。

 

描写がインドの気候の通り

ねっとり、うっそうとしていて

事件もじんわり進んでいきます。

みんな何かを隠して

何かに悩んでいるせいかも。

 

ある程度、この時期のインドについて

知識があった方が

面白いと思います。

途中、特に説明もなく

(常識の範囲と

思われてるのでしょう)

歴史的な事件がちょいちょい話題として

出てくるので、

Wikipedia調べながら読み進めました。

歴史を一連の流れとして

理解してから

もう一回読もうと思います。

 

この本では、着任したばかり

インドに来たばかりの

イギリス人刑事の目線で

インドの植民地支配について

少数が多数を統治するとは、、という

悲しさが描かれています。

 

さらにアイルランドによる

イギリスへの抵抗についても

若干ですが、話が

及んでいます。

当時、至る所で同じような

問題が起こっていたんですね。

世界史の授業を

思い出しました。

 

支配する側もされる側も

感情は十人十色なので

その当時の考え方に

正解があるわけではないのですが

犯人探しという筋立ての中で

色々な想い、考えを体験できるのは

ミステリー小説の

いいところだなと思います。

 

翻訳者さんの後書きで

インド系移民2世の

作家さんご自身が

アイデンティティの確立のため

この時代のインドを理解したいと

創られた本であると

書いていらっしゃいました。

 

名もなき一介の人物たちが

当時をどのように見つめたか

想像で補いながらも

一緒に当時を過ごしたような

気分が味わえるのも

読書の醍醐味です。